「キホトリ」について

 一昨年、民事訴訟法の改正・公布がありました。全面的な施行日は公布から4年以内とされています。
 現行法からの変更点は多岐にわたり、オンラインによる裁判手続に関する規定も追加されました。新法施行後は、当事者に弁護士が付いている場合、訴状の提出をオンラインで行うことが義務化され、郵送または持参による提出は出来なくなります。弁護士が訴訟に携わるためには、たとえ記録管理は紙媒体で行っているとしても、オンラインで訴状のデジタルデータを取り扱わなければなりません。

 当然ながら、訴状などの裁判書類には多くの個人情報が含まれているため、慎重な取扱いが求められます。これまで、弁護士の情報セキュリティ対策の取組を支援することを目的とする「弁護士情報セキュリティガイドライン」は存在していましたが、裁判手続のIT化に関する法整備と合わせて見直しが進められ、同ガイドラインに代わるものとして、新たに「弁護士情報セキュリティ規程」が制定されました(令和6年6月1日より施行予定)。

 同規程においては、弁護士等が「情報セキュリティ確保のための基本的な取扱方法」を定めることとなっています。この「基本的な取扱方法」が「キホトリ」と略称されているようです。
 また、同規程では「キホトリ」を定めるうえで配慮する事項として、安全管理措置の具体的内容、情報のライフサイクル管理の方法、点検及び改善の方法、漏えい事故が発止した場合の対応の方法、が挙げられています(「情報のライフサイクル」とは、情報の生成・作成から破棄までの一連の過程を指すものです)。当事務所でも、これらの事項を中心とした取扱方法を策定し運用しています。

 さらなるオンライン手続の拡大も予想されており、ハード・ソフト両面の整備が一層重要となっています。

                                       弁護士 濵口