離婚と破産手続との関係

先月,裁判所と弁護士会倒産法委員会との間の勉強会で発表を担当してきました。
テーマは離婚と破産手続との関係というものでした。
離婚に際しては,夫ないし妻から相手方へ財産分与・慰謝料・養育費等といった形で多額の財産移転がされることがあります。これらの財産移転が破産手続開始の直前に行われた場合や,行われないままに破産手続開始の申立てがなされた場合、どう扱うかは問題のあるところです。
財産分与や慰謝料の支払いが破産手続開始の直前に行われた場合は、管財人により否認権が行使され、受取人は返還が求められることがありますし、慰謝料請求の訴訟や財産分与の審判中に、権利者・義務者が破産をした場合には、管財人による手続受継の是非等も問題となります。
このように様々な論点があることからテーマとして扱いましたが、1時間半程の時間で議論も活発に行われ、盛況に終わりました。
離婚の問題に限らず、破産手続開始前に申立人から多額の資産が流出している場合、破産手続との関係で大きな問題が生じることがあります。管財人により返還が求められたり、場合によっては、免責許可の是非が問題となることもあります。
そういったことを防ぐためには、依頼者の方に説明を尽くすと伴に、細目に連絡を取り合い信頼関係を築くことが大切だと感じます。日々の業務で忙しいこともありますが、初心を忘れずに頑張って参りたいと思います。           

弁護士 西尾