一部無罪判決のお知らせ【無罪事例2件目】

先日担当した刑事裁判で、一部無罪の判決を得ました(検察官が控訴しなかったため判決が確定)。一部無罪とは、一人の被告人が複数の事件について起訴され、一部の事件について有罪、残りは無罪、という判決が出るような場合をいいます。今回は、別々の日に起きた3つの傷害事件について起訴され、そのうち2件について有罪となり、残りの1件について正当防衛が認められて無罪となりました(以下、無罪になった事件のことを「本件」といいます。)。私は、起訴後に国選弁護人に選任されて、本件の弁護をすることになりました。

本件は、被告人が、初対面の男性との間で、電車内でのトラブルから駅構内でつかみ合いになり、相手の顔に膝蹴りをした、という事件です。被害者とされる相手は「被告人に殴りかかられた」と申告していましたが、被告人は「相手に攻撃されたので反撃した」と私に説明しました。

私は、検察官に証拠開示を求める一方、独自に証拠収集活動を行うなど、徹底的に証拠を集めました。そして裁判では、つかみ合いの様子が記録された防犯カメラ映像、被害者のカルテ、被害者に対する反対尋問で得られた事情などをもとに、「被告人に殴りかかられた」という被害者供述が信用できないこと、被告人の行為は相手の侵害に対する対抗行為として許されるものであったことを、丁寧に示すよう心がけました。それが、一部無罪という結果につながったのだろうと思います。そうした弁護人の活動に耳を傾け、証拠を正しく評価して一部無罪を言い渡した裁判長には、頭の下がる思いです。

刑事裁判で無罪になることは稀です。「有罪率99.9%」などと言われたりしますが、事実関係に争いのある事件(否認事件)に限っても、無罪になるのは3%程度(一部無罪を含めた数値)のようです。たった3%の無罪判決を得るために、弁護士に求められることは何か。それは、効果的な弁護活動を行うために必要な知識や技法を身につけることであり、起訴を決めた検察官が見落とした事実を見つけるべく証拠の収集・分析に手を抜かないことであり、情熱をもって事件に向き合うことだと私は思います。

2年前、私は、弊所の所長弁護士と傷害致死事件の裁判員裁判を担当し、本件と同様に正当防衛が認められて無罪判決を得ました。弊所では、全ての弁護士が、最新の知識や技法を身につけるべく研鑽に励んでいます。また、刑事事件に限らずどんな事件でも、決して手を抜かず、情熱をもって事件に向き合っています。

これからもその姿勢を貫き、依頼者のためにベストパフォーマンスを発揮できるよう私も励んでいきます。

弁護士K