物価上昇から会社を守るための契約交渉・価格交渉
最近は、物価の上昇に加え、海外情勢の影響などもあり、原材料費・光熱費・人件費が大きく上がっています。そのため、多くの会社で「利益が出にくくなった」「今までの価格では厳しい」という悩みが増えています。
特に、企業同士で取引をしている会社にとっては、増えたコストを取引価格にきちんと反映できるかどうかが、経営に大きく関わる重要な問題です。
こうした状況を受けて、国も価格転嫁(コスト上昇分を価格に反映すること)を後押ししています。
たとえば、国は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を示し、発注者と受注者の双方に対して、適切な価格交渉を行うよう求めています。
特に、人件費の上昇分については交渉が難しくなりやすいため、「受注者が価格の見直しを求めたのに、発注者が話し合いに応じず、一方的に価格を据え置く」ことは問題になり得ると明確に示されています。場合によっては、法律違反と評価される可能性もあります。
また、中小企業庁は、価格交渉の進め方をまとめた「価格交渉ハンドブック」も公表しています。そこでは、どのような資料を示せばよいか、いつ交渉するのがよいかなど、実際に役立つポイントが紹介されています。
法律の観点から見ると、コストが上がっているのに価格を見直さないまま取引を続けることには、注意が必要です。発注者側には、優越的な立場を利用して不当に低い価格を押しつけたと判断されるリスクがあります。
一方で、受注者側にとっては、価格の見直しを求めることは正当な交渉であり、遠慮しすぎる必要はありません。
そして、こうしたトラブルを防ぐうえで大切なのが、契約書の内容をあらかじめ工夫しておくことです。
たとえば、
・原材料費や人件費が上がったときに価格を見直せる条項を入れる
・契約期間を長すぎないようにする
・「事情が変わった場合は協議する」といった条項を具体的にしておく
といった対応をしておくことで、想定外の事態が起きたときにも、落ち着いて交渉しやすくなります。
契約書は、単なる形式的な書類ではありません。会社を守るための大切な備えです。
物価上昇が続く今だからこそ、日頃の契約交渉や契約書の内容を見直し、「いざというときに対応できる仕組み」を整えておくことが重要です。
弁護士 久保田

