日本銀行券の変更
2024年7月3日に一万円、五千円、千円のデザインが20年ぶりに変更されます。これは、偽造防止のために最新の技術を取り入れるものになります。
個人的には、一万円札は福沢諭吉のデザインのものしか使用したことがないため、違和感が出てくるのではないかと思っています。
さて、日本銀行券に関するルールは日本銀行法という法律によって定められています。
たとえば、日本銀行券は一万円、五千円、二千円、千円の4種類であることが規定されています(日本銀行法47条1項、日本銀行法施行令13条)。
また、日本銀行は、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった日本銀行券を、手数料を徴収することなく、以下のように引き換えなければならないとされています(日本銀行法48条、日本銀行法施行規則8条)。
①券面の3分の2以上が残存する場合
額面価格の全額
②券面の5分の2以上が残存する場合
額面価格の半額
※紙片が2つ以上に分かれてしまっていたとしても、各紙片が同一の日本銀行券であると認められれば、各紙片の面積を合計した面積が残存面積となります。
今回、日本銀行券のデザインが変更されることによって、今まで使用していた紙幣が使えなくなってしまうのでは?という疑問が出てくるかもしれません。
しかし、日本銀行券は法貨として無制限に通用すると規定されています(日本銀行法46条2項)。つまり、2024年7月3日以降も、現在使用されている一万円、五千円、千円は日本銀行券として有効なものとして使用することが可能です。
今後、金融機関や行政機関を名乗り、「これまでの紙幣が使えなくなるから交換が必要。こちらで無料で紙幣の交換を行うため、送金してほしい。」等と言って現金をだまし取る特殊詐欺が出てくることが予想されます。そのような連絡があったとしても現在使用されている紙幣が使えなくなることはないため、騙されないようにご注意ください。
弁護士 寺沢