いじめ予防授業

 弁護士会では、実際に小・中学校に弁護士を派遣して子どもや教師、保護者と一緒にいじめについて考えてもらう「いじめ予防授業」を行っています。先日、私も国分寺市の小学校で授業を担当してきました。
 2013年にいじめ防止対策推進法が成立・施行され、各自治体や学校ではいじめ防止等に向けた取り組みがなされています。しかし、依然としていじめは存在し、その被害はなくなっていません。いじめは、時に生きる権利をも奪ってしまう人権侵害です。人権を守る弁護士が人権の視点から「いじめ予防授業」をすることには大きな意義があると思っています。

 授業内容を少し紹介します。
 まず、子どもたちに「人権とは?」と問いかけ、人権はみんなが自分らしく生きる権利であること、人権が守られるということは「安心して、自信を持って、自由でいられる」ことであると話します。そして、いじめが起きると、「不安になり、自信がなくなり、不自由になり」自分らしく生きられなくなる。すなわち、いじめが起こると人権が傷つけられることを伝えます。
 また、実際のいじめ自殺の事例も紹介します。その中で、自殺した子どもの遺書を見せて、読み上げることもあります。子どもたちは真剣に、その目で見て、その耳で聞いてくれます。非常に重く苦しい雰囲気にはなってしまいますが、しっかり受け止めようとする子どもたちの姿を垣間見ることができ、授業を担当する者としてはうれしい瞬間でもあります。
 その他、コップの水に例えていじめを受けた人の心を知ってもらったり、あるアニメのキャラクターを通じていじめの四層構造(いじめっ子、いじめられっ子、おもしろがる人、見てるだけの人)を説明し、「見てるだけの人(傍観者)」にこそいじめを止める力があることを一緒に考えたりします。

 授業後のアンケートでは、子どもたちから、一番心に残った話として人権の内容である「安心、自信、自由」のキーワードが挙がったり、いじめは人権を傷つけることであることがわかった、いじめはしない、(いじめを)している人がいたら注意をする、といった感想が多く寄せられました。
 授業を聞いてくれた子どもたちが、「いじめをしない」ことはもちろん、いじめに気づいた時に、そういえば授業で弁護士が話していたな~と思い出して「いじめを止める」人になってもらえたらうれしいです。そして、いじめがない世の中になったらと願っています。
 今後も続けていきたい活動の一つです。

弁護士 平野