「全曲」を辞書で引くと
12月と1月は様々な歌番組が目白押しでした。
番組冒頭から『全曲』試聴する方もいれば、事前に『全曲』のリストを見ておき、気になる曲目の時のみチャンネルを切り替える方もいるのではないでしょうか。
ところで、この『全曲』という言葉を辞書で引いてみると、【全ての曲】という意味のほか、【一曲全体】という意味も載っています。
全ての曲を指す場合が多いと思われますが、一曲の初めから終わりまでという意味で用いられている文章も見られます。
このほか、『全大学学生』と検索したところ、【『全ての大学』の大学生】の意味のものと【『特定の大学全体』の学生】の意味のものとが混在していました。
たとえ複数の意味がある言葉であっても、「日本の『全大学学生』」や「○○大の『全大学学生』」などの文脈のヒントがあれば、どちらの意味かは分かります。
ただ、時には単語の意味が不明確なまま話が進むこともあります。
例えば、会話中の最初に「全社で~」という言葉が出てきて、その業界内の全ての会社(all companies)のことと捉えて聞いていたとしても、実際には話し手の勤務先一社(whole company)に限定した話題であったとすれば、前提が大きく変わってきます。
もし、会話しながら分かりづらい単語に気づいている場合は、上手く話を拡げるなどすることでいずれは解決しますが、そうでない場合は勘違いしたまま会話が終わりかねません。
話し言葉では主語など無しでも意味が通じ、一度出てきた単語はその後省略されることもよくあるため、曖昧な単語や普段耳馴染みのない単語に接する際には気をつけたいところです。
弁護士 濵口